■07.11.12up

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あまりに難しい打楽器アンサンブルの評価
 
 11月11日。それは1が4つ並ぶ日である。

 ...何となく嬉しい。

 さて、今年もやってきましたアンコンな一日。管理人の中では、吹奏楽関係のイベントの中で最も楽しみなものでもあります。そして、場合により、結構苦しい日でもあります。

 何しろ21チームが参加して、県大会に進めるのはわずか3つ。しかも、その21チームの中には、打楽器だけで構成されているチームもあるし、木管だけ、金管だけというチームもある。
(そういえば、今年は木管・金管のミックスチームや、管楽器の中に打楽器を入れたチームはいなかったけど)

 とても同じ条件で比較できるとも思えないが、そこはそれ、審査員はプロの方々ですからね。

 管理人は個人的には打楽器チームが大好きではありますが、今年も打楽器は2チームのみの参加で、ちょっと寂しいかと。ま、校内予選を勝ち抜かないと湘南地区での演奏ができない学校もあるので(3チーム参加した高校はおそらく校内予選を実施していると思われます)致し方ないのかもしれませんが...

 で、どうしても打楽器からですかね、出演順。

 これはかなりのクセモノと見ました。打楽器を最後にやってくれると、もっと全体を冷静に聴けるような気もしますが、いかがなもんでしょう。いやいや、勿論、楽器の搬入・搬出の問題も絡んだりするのは理解は出来るのですが。

 あとですね、根本的によくわからなかったこととして、湘南地区から県大会に進むチーム数が一昨年までは4チームだったのに、去年から3チームに減った、ということがあります。

 どうやらこれは地区予選へのエントリーチーム数により、比例配分されるとのこと。確かに一昨年は24チームが参加。昨年・今年は21チームですから、一応辻褄は合います。自然発生的に参加チームが増えて、県大会への枠も広がるとよいのでしょうが、「狭き門」であることは緊張感のある演奏をする上で、大切な要素なのかもしれません。
 

文化会館前の中央公園でも紅葉が始まりました。色彩が鮮やかな秋の一日でした
 

結果速報
 
 管理人は今年も懲りずに「独自採点」を決行しました。採点項目は「大胆さ」「繊細さ」「シンクロ性」の3つ。それぞれ10点です。もっとシンプルに「すげぇいい」「かなりいい感じ」「まずまずじゃないっすか」「ん〜、イマイチ」「ちょっとしょぼい」程度の感覚でもきっとよいのでしょうが、本物の審査員の皆さんとどれくらい違うものなのかを知りたいという、いわば個人的な欲求があるのだと自覚しています。

 一応、チームごとに採点もしてはみましたが、詳細は上位チームについてのみの発表とさせて下さい。

 さて、本物の審査は以下の通りです。
(演奏順に従っています)
 
【金賞】
湘南打楽器六重奏[県大会代表]、北陵サクソフォーン四重奏[県大会代表]、茅ヶ崎サクソフォーン四重奏、北陵クラリネット八重奏[県大会代表]、湘南フルート三重奏、日大藤沢金管八重奏、北陵金管七重奏

【銀賞】
日大藤沢打楽器六重奏、鶴嶺サクソフォーン四重奏、藤沢西サクソフォーン四重奏、鶴嶺クラリネット四重奏、茅ヶ崎フルート四重奏、日大藤沢木管五重奏、鶴嶺金管八重奏、茅ヶ崎金管八重奏、湘南金管八重奏

【銅賞】
藤沢西クラリネット五重奏、藤沢西フルート三重奏、湘南学園フルート三重奏、湘南学園金管六重奏


 といった結果となりました。

 で、管理人の採点なのですが、結構審査員の方とは違っていたりしまして...

【管理人独自採点部門? 上位5チーム】
■1位:北陵クラリネット八重奏 28/30
■2位:藤沢西サックス四重奏 27/30
■2位:湘南打楽器六重奏 27/30
■4位:日大藤沢金管八重奏 26.5/30
■4位:北陵サックス四重奏 26.5/30

 管理人が2位に推した藤沢西のサックス四重奏が金賞を取れなかったことで、いよいよ“独自採点引退間近”かと思っています。例年、サックスは気をつけて聴くようにはしているつもりなのですが、ダメっすね。

 ま、管理人の採点で県大会に進むチームが決まるわけではないので、演奏された皆さんはあまり気にしないで下さいね。

管理人,素敵なチームを褒める
 
 審査の結果とは関係なく、管理人のツボに嵌ったチームをちょいと褒めさせて頂きます。
(出演順)

【湘南打楽器六重奏】
楽曲:マリンバと打楽器アンサンブルのための協奏曲より T,W(N.ロサウロ作曲)

 実は演奏開始当初、「もっと派手にやって欲しいなぁ...」などと考えていたのですが、進行するにつれて、メインのマリンバを他の楽器がいかにして支えるか、ということに絞り込んだ演奏なのかなぁと感じさせるステージ上の振る舞いに思えてきた。緊張感があり、音量にあまり依存しないという意志を感じさせてくれる演奏だったけど、本人たちは全然違うことを意図していたかも...

【藤沢西サックス四重奏】
楽曲:バーレスク(R.フラネル作曲)


 朝目覚めて、顔を洗い、ご飯を食べ、早春の陽光の中をやや早歩きで出掛けるといったイメージで、動的な感じがある演奏だった。個人的にはツボに嵌ったよ。

【北陵クラリネット八重奏】
楽曲:リクディム 4つのイスラエル舞曲より T,U,W(ヤン・ヴァン・デル・ロースト作曲)

 この曲はかつて北陵の先輩チーム(たぶん2003年)や他校でも演奏されたが、最後に8人で「ホイッ」という掛け声が入るところがひどく印象的。 途中の音のやり取りは八重奏ならではの楽しさも伝えてくれた。ダイナミックスがグラデーション的に変化してゆく感覚は管理人の好みにズバリと来ました!

【日大藤沢金管八重奏】

楽曲:高貴なるブドウ酒を讃えて V.フンダドーレ(シャンパンをもう一杯) (G.リチャーズ作曲)

 ここ最近、日大藤沢全体が自己主張するようになったと感じるのは管理人だけであろうか。今夏のコンクールの際も感じたことではあるが、聴いている人に音を通じて楽しんでもらおうという精神が形になって表れている、とでも言えばよいのか...。 このチームでは、それがトランペット・トロンボーンがそれぞれミュートした中で掛け合う場面で顕著であり、8人で演奏している価値を感じさせてくれるチームであった。もしや日大藤沢、大ブレークの予兆っすか?
 

中学校の部で高倉中が3チームとも県大会進出の快挙!
 
  午前から行われた中学の部では47チームの参加があり、うち5チームが県大会出場という、高校の部よりも厳しい競争率であったのだが、藤沢市立高倉中から出場した3チームが全て県大会に進むという快挙を成し遂げた。

 高倉中の主顧問は何度かインタビューなどもさせて頂いている橘田誠司先生。橘田先生は大庭中時代にも「3チーム全通し」を経験されているとか。

 それって、かなりスゴイ...
 
 当「部活ネット」は高校生専門のサイトではありますが、その源泉とも言える中学への取材もいよいよ考慮してみようかと思います。実は、管理人宛に『高倉中を取材してみて下さい』というメールも届いています。

 いつとはお約束出来ませんが、是非、一度お訪ねさせて下さいね。

インタビューしてみました
 
■北陵サックス四重奏チーム

Q:本日の演奏の出来栄えを自己採点(100点満点)してみて下さい。
A:「自信ない」「80点」「70点」「50点いくかいかないか」

Q:フルバンドと比較したアンサンブルの楽しさについて聞かせて下さい。
A:「一人一人の意思が出て楽しい」「主張しなしといけないので、難しい」

Q:部活で音楽をやる楽しさは?
A:「仲間が増える」
 

見事県大会出場おめでとうございます!
 
■藤沢西サックス四重奏チーム

Q:本日の演奏の出来栄えを自己採点(100点満点)してみて下さい。
A:「100点だよね」「ところどころ間違えたところはあるけど、楽しく出来た」「大満足」

Q:フルバンドと比較したアンサンブルの楽しさについて聞かせて下さい。
A:「みんなで作っていく」「個人が表れやすくて楽しい」「先生がいないから大変だけど、アドバイスをもらいながら、自分たちで作っていくのは楽しい」
 

Q:高校を卒業した後、音楽とどう関わっていきたいですか?
A:「今のOBのように、西高に戻って在校生と一緒にやりたい」

Q:部活で音楽をやる楽しさは?
A:「パートは個人だけど、皆で合わせるから楽しい」

また学校の方へも伺わせてもらいますね。
 

■北陵金管八重奏チーム

Q:本日の演奏の出来栄えを自己採点(100点満点)してみて下さい。
A:「100点」「100点」「100点」

Q:フルバンドと比較したアンサンブルの楽しさについて聞かせて下さい。
A:「楽器の個々の特徴が出せる」「役割分担がはっきりある」「皆の知らないところを知ることができる。私生活も含めて。」「仲良くなれる」

 

Q:高校を卒業した後も、音楽を続けたいですか?
A:(全員)「続けたい」

Q:部活で音楽をやる楽しさは?
A:「友達がたくさん出来る」「いきなり100人!」「40人のクラスで14人が吹奏楽部」
 

達人ジュニア登場
 
 隠していたわけではないが、「あの」打楽器王・村松達人のご子息(トランペット)がこっそり北陵高校吹奏楽部に居ました!個人インタビューは初めてです。
(ちなみにインタビューしたのは管理人ではなく、K女史です)

Q:お父様がプロというのはどういう感覚ですか?
A:「プレッシャーはある。父はリズム感がとてもあるけど、自分は無いと言われる。」
「父がプロで良かったと思う。音楽を語れるのがいい。」

 
 とのことでした。

 いやぁ、家で音楽を語っているのか...。今度、その会話を録音させてくれ...(笑)

史上初(たぶん)。県大会も茅ヶ崎で!
 
 恒例の丸山透湘南吹奏楽連盟理事長(兼・北陵吹奏楽部顧問)にインタビューしました。

 ちなみに、写真中央は今回ステージマネージャーを務めた弓桁くん(北陵OB)。撮影の際には必ずと言ってよいほど登場します。

 弓桁くんは今回、県大会が茅ヶ崎(文化会館)で開催されることで「いよいよ後輩たちが関東まで行くかもしれません」と期待している様子。それについては丸山先生も同じ意見のようで、「ホームグラウンドでやるわけだから、普段の力を発揮してもらいたい」とのことでした。
 
 また、北陵顧問として、今回出場した3チームへのメッセージもお聞きしました。

◇サックス四重奏チームへ
 後半ヘロヘロだった。もっとスタミナつけろ。

◇クラリネット八重奏チームへ
 8本分の音を出せ。アンサンブルではMAXの人数なんだから、それを活かせ。

 上記2チームへの県大会への期待は「ホームなんだから、何度も何度も吹いた経験がある。緊張を乗り越えて、普段の力を出せ。湘南地区を背負って頑張れ」とのことです。

◇金管七重奏チームへ
 もう一息。一人一人の意識、力がまだ足りてなかった。それでもよくここまで仕上げてきた。

 と語っているうちに、「いやぁ、実は湘南地区、おそらく湘南アンサンブルになってから一度も『金管X重奏』が県大会に行ったことがないんですよ。木管が強いというより、金管が弱いんですね。うちも金管を鍛えないと...。橘田先生なんかもトランペットですし、指導者もたくさんいますから」という思いまで語ってくれました。

 というわけで、12月16日(日)茅ヶ崎市民文化会館にてアンコン神奈川県大会が行われます。管理人も何とかして湘南地区代表を応援しに行きたいと思っています。

高校のアンサンブルはもしや“早熟度”の競争かも
 
 高校の部が終了して、大学の部が始まった。管理人は記事の整理をしつつ、何気なく聴いていたのだが、こりゃ明らかに高校生の音とは違う。特に1チームめの金管八重奏は、高校生の同じ編成のものとは「天と地」ほど違うと言っても過言でない。

 全体の落ち着きが違う。一つ一つの音に対する配慮が違う。大胆さも繊細さも、音量の出し入れも違って聴こえた。

 これは最早人生経験の差なのだろうか...。つまり、様々なカテゴリーに於いて、解釈するレベルが17歳と20歳では大きく違うように、楽曲に対する解釈レベルも違っていてムリはない、と言いたいわけだが。

 管理人としては、未熟な高校生が何とかそれでも自らの解釈を込めて演奏するアンコンがとても好きなのだが、思うに、アンサンブルを演奏することで、もしかすると少年・少女は紳士・淑女へと変貌してゆくのかもしれない。

 アンコンを聴き始めて5年目。管理人は、ようやく高校生のアンサンブルにこうも惹かれる理由が氷解した。

 彼らの音楽には無尽蔵とも思える可能性が埋まっていて、それを自分たちで懸命に掘り出そうとするプロセスこそがアンサンブルなのだ。大きなバンドではないため、ごまかしはきかない。自分たちの息遣いすら伝わってしまうようなステージで演奏する恥じらいや誇り。

 アンサンブルは、吹奏楽に関わる高校生にとって、避けてはならぬ大人への階段なのかもしれない。

 県大会での演奏も楽しみにしていよう。